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2015年4月18日土曜日

ラドン=ニコディムの定理(その1)

ラドン=ニコディムの定理 - Wikipedia
確率論に関するメモ(増補)

やあ、みんな。

これまで測度論(measure theory)の本格的な勉強を避けてきたけど、情報量統計学の基礎を勉強し直すという意味で、ちょっとづつ取り組んでみるよ。第一の目標はラドン=ニコディムの定理の意味を理解して、そこからダーバージェンスが導出される過程を理解すること。



ゆっくりと。

集合環(set ring)について

集合Ωを考えている。

Ωの空でない、部分集合を要素とする集合、すなわち集合族Σを考える。どんな部分集合をとるかにより、一つの集合から様々な集合族を構成することができる。

集合環(ring of sets,set ring)とは次の二つの性質を持つ集合族のこと。

1)
\[
A,B \in \Sigma \Rightarrow A \backslash B \in \Sigma
\]
2)
\[
A,B \in \Sigma \Rightarrow A \cup B \in \Sigma
\]

1)は集合の差に関するものだね。2)は和集合(union)に関するもの。両方の演算について閉じている、と主張している。

実はこの定義は測度論上のもの。他に順序論上の定義がある。けれども、測度論での定義を認めれば、自動的に順序論の定義での集合環になる。つまり、symmetric diferrenceについても、共通集合(intersection)についても閉じていることになる。この後者があれば順序論の定義を満たす。

\[
A \Delta B = (A \backslash B) \cup (B \backslash A)
\]

\[
A \cap B = A \backslash (A \backslash B)
\]

空集合もΣに含まれることになるね。

普通の環(ring)とは直接関係するものではないので、混乱しないようにしよう。これが「環」と呼ばれているのも、環の定義を満たしているからではなく、ブール環である、ということから来ているらしいよ(いずれも「環」の古い用法とのこと)。


集合体(set field)または「代数(algebra)」について

集合体(set field)または「代数(algebra)」とは上に加えて更に次の性質を持つ集合族のこと。
3)
\[
\Omega \in \Sigma
\]

有限であるということを強調するために「有限加法族」とか「有限集合体」、「有限集合代数」などとも呼ばれているよ。これはその後の完備化=完全化に至っていないことを意図しているんだろうね。

なお、Ω 上の集合体 (Ω, Σ) に対して、Ω の元を集合体の点、Σ の元を集合体の複体(complex; 叢)と呼ぶ、そうだよ。

σ集合体(sigma set field)または「σ代数(sigma algebra)」について

σ集合体は、むしろ「完全加法族」という名前で知られているね。

上のルール2)は有限個の集合についての和集合について閉じているという意味だけど、これを可算無限まで拡張したものがσ集合体なんだね。

可測空間(measurable space)について

集合 Ω とその上の完全加法族 Σ との対 (Ω, Σ) は可測空間と呼ばれる、とのことだよ。いよいよ測度(measure)を入れる準備が出来た、ってことのように見えるね。

でも、それはどうも違うようだよ。Σは可測集合と言われているけれど、σ集合体ならば可測集合になるというわけではないようだ。実際は、先に測度があって、それと矛盾しないようなσ集合体を探してくるということになるみたい。つまり、不可測集合があるってこと。Σがきちんと可測集合になっているときに、ΩとΣの組をはじめて可測空間と呼べるんだね。

メモ:
  • ボレル集合体:すべての区間を含んだ最小のσ代数
  • ルベーグ可測集合:すべての区間とすべての零集合を含んだ最小のσ代数
  • 冪集合:最大のσ代数



じゃあ、またね。